カシスが目にいい理由

 カシスとは、ヨーロッパからアジアの寒冷地で広く生息する「ユキノシタ科」の落葉低木性の植物。濃紫色で酸味のある小さな果実をつけ、ブルーベリーやストロベリーなどと同じ、「ベリー類」の一種になります。果実は、ジュースやジャム、リキュール等の原料として広く利用されています。カシスの主要成分はポリフェノールですが、4種類のアントシアニンも含まれています。アントシアニンとは赤紫色の色素のこと。視力を改善する働きがあるといわれています。ブルーベリーは、視力を改善するとして今日広く知られています。第2次世界大戦時中のこと。ブルーベリージャムを、いつもたっぷり食べていたイギリス空軍のパイロットが「夕暮れや明け方の薄明かりの中でも敵機の攻撃がよく見えた」と証言したのです。これがきっかけとなって、ブルーベリーと目の働きに関係を突き止める研究が開始されたのでした。実際に解明されたのは、その後1964年になってからです。ブルーベリーの色素成分であるアントシアニンが、光の信号を脳に伝えるロドプシンという物質を活性化させることが明らかになるのです。アントシアニンの中でも、特に目によいとされるのがデルフィニジン配糖体ということが、最近の研究でわかってきました。カシスのアントシアニンには、このデルフィニジン配糖体が約60%という非常に高い割合で含まれています。目を酷使したときは、目が疲れます。たとえば、長い時間本を読んだり、パソコンをしたりした後などは、目が筋肉の緊張がほぐれずに、焦点が近くに固定されたままになります。いわば、一時的な近視状態ですね。これを仮性近視と呼びます。仮性近視は治療が可能です。十分な睡眠をとれば治る事もあります。でも、仮性近視の状態が続くと早い方では約3ヶ月で、本当の近視になってしまいます。思い当たる方は要注意。カシスに含まれるアントシアニンは、仮性近視を抑制する効果があるとされています。黒カシスのビタミンCは、イチゴやレモンの約3.4倍もあります。しかも、亜鉛・鉄・カルシウムなどのミネラルも豊富にはいっているのです。瞳にも、そして体にもやさしい果実です。